はじめに
こんにちは。ロアッソ観戦記「だれだれろっそ!」へようこそ!
今回は 2024/10/27(日)J2 第36節 ロアッソ熊本 vs モンテディオ山形(A)の観戦記を記します。
なお, 今回もロアッソ熊本の選手名は敬称略とさせていただきます。
また, チャート上の表記は登録ポジションで記載しているため、本節布陣と異なることがあります。
あらかじめご了承ください。
熱い主観性と一歩引いた客観性の双方の角度から記した観戦記です。ぜひお楽しみください!
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ロアッソチャートの要素と視点について
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前節の観戦記はこちら!
ロアッソ熊本 vs レノファ山口FC戦(H) 20周年記念マッチ観戦記
試合の位置付け
本節はJ2第36節 山形との一戦。
熊本は前節山口をホームに迎え, 1-1のドローに終わった。
試合内容としては、強い強風の影響で熊本らしさを大きく欠いた内容となった。
強風の影響はボールだけではなく、身体の動き強いては組織力にも直結する。20周年マッチということもあって、なんとか勝利を収めたかったところだが来季の残留を決めてくれた。
一方の山形は前節アウェイで清水エスパルスに1-2の逆転勝利。前半こそスコアレスドローに終わったが、高橋選手(80分)や後藤選手(87分)のゴールで見事勝利を収め6連勝とプレーオフ圏内に向けて大躍進。今季清水はホームで無敗だったこともあり、山形の雰囲気は最高潮といったところだろう。
前回対戦時, ホームえがスタで0-1の敗戦。
ロアッソ熊本としては、山形の推進力に富んだ3トップはもちろん、セットプレーや強固な守備からのショートカウンターにも警戒したいところ。
中途半端な守備ブロックを形成してしまうと、トップ下の後藤選手や土居選手がスイッチとなり大変脅威である。
可能な限り1対1の局面で回収したいが、熊本ならではの複数選手を用いた迅速な回収を施すのなら、単にボールに喰いつくことなく確実に回収したい。
こういう試合こそ2ボランチを試す価値が大いにあると思う。
大木監督は残留を決めたことから、シーズン序盤に模索していた3-4-1-2を唐山を絡めながら、再度最適解を見出してくるのか。
それとも今シーズン積み上げてきた戦術で確実に勝利を掴みにくるのか。
大木監督の来季続投、主税コーチの今季限りでの退団。
2025シーズンに向けてクラブは動きはじめた。私たち熊本県民も気持ち新たにロアッソ熊本を後押ししよう。
この記事の要約
・来季に向け、攻撃や戦術の幅を吟味する上で有意義な内容であった。
・ワクワクできる内容であった。
GK:田代 琉我
失点1。
立ち上がり6分のスーパーセーブ。
そのほかのシーンでもセーブを連発していた。
コーナーキックから決勝点を献上したものの、その他の場面では大いに安定感をもたらしてくれた。
38分の迅速かつ高精度なスローイングは石川につながり被ファールで阻止された。カウンターのチャンスに大いになり得た。
何気ないプレーではあるが、こういったプレーがアクセントとなり、熊本の単調になりがちなパスサッカーに大きな違いを作る。
田代不在でもサイドからのボールに対応できるくらいのディフェンス時の安定感が欲しい。
いつもありがとう。
DF:大西 遼太郎
失点に関与。ゴールから遠ざかる動きの中で、クリアが難しかったか。
15分などボックス内にハイボールを供給しチャンスを演出。
失点に関与したものの、その他のプレーは安定感に富んでおり左CBとして十分な活躍であった。
ナイスプレー。
DF:江崎 巧朗
ディサロ選手のみならず、流れてきた相手FWやポストプレーまで完璧に封印。山形の攻撃の形を作らせなかった。
流動的3CBという不安定な関係性は毎試合避けられないものだが、その中心として熊本守備陣に大きな安定感をもたらした。
70分、セカンドボールからミドルシュートを放った。
ボールは明後日の方向ではあったものの、ゴールへの意識と相手DFを引き出すという意味では非常に有意義であった。
彼のおかげで見応えのある試合になった。
個人的MOM。素晴らしい活躍だった。
いつもありがとう。
DF:岩下 航
イサカゼイン選手の速さに臆することなく、積極的に攻撃参加。
守備時の安定感もさることながら効果的なポジショニングで味方パスコースの創出にも貢献。
東山のフィジカルやプレースタイルを生かしたプレーも見出したい。
左サイドは岩下の存在感が大いにあった。
ナイスプレー。
MF:豊田 歩
インスイングでのクロスなど、ラストパスで違いを出した。
立ち上がり2分のプレーなど、インナーラップを交え右サイドのスペースを大本と共に有意義に活用した。
大﨑投入後はタッチライン際でのプレーが増え、豊田が得意とするインレーンでのプレー機会は限られた。
古長谷や上村、大西を交え、大本不在でもタッチラインを制することができればなぁなんて高望みしたりもする。
パス、ラン、ポジショニングにおいて攻撃を構築する上で十分な役割を果たした。
MF:上村 周平
セカンドボール。バイタルからのシュートの脅威があるとなお面白い。
13分のシーンなど多くのシーンで可能性のあるラストパスを供給。
相変わらずピッチ全域を駆け回り味方をカバーした。28分のシーンはショートカウンターの危機を警告ギリギリのプレーで阻止。
中盤での50:50のボールもほぼ全て回収してくれた印象。上村が中盤を支配した。
いつもありがとう。ナイスプレー。
MF:三島頌平
過不足のないポジショニングで中盤に安定感をもたらした。
19分、イサカゼイン選手のサイドをえぐるプレーにも的確なスライディングで対応。
唐山や古長谷と連動した攻撃時のパス供給のみならず、岩下らと連携した守備のタスクも十二分にこなした。
ナイスプレー。
MF:古長谷 千博
ボールと積極的に関与。相手の守備ブロックにより古長谷がシュートを得意とするバイタルエリアでのプレーは限定された。
積極的に3列目付近まで降りてきて、攻撃の糸口を模索していた。
最近の試合は古長谷らしいプレー機会がごく限られているが、古長谷のハードワークのおかげで熊本の攻撃は機能している。
いつもありがとう。ナイスプレー。
FW:大本 祐槻(→FW: 大﨑 舜)
今日も駆け抜けた。
大本は速さだけでなく、足元の技術やボディフェイントにも長けている。
オフザボールの動きやファーサイドでのゴールへの嗅覚など大本は何人いてくれてもいい。
36分の前線での回収など、大本のスピードを生かしたチェイシングやプレスが非常に効いており、山形左サイドの攻撃を完全に無力化した。
唐山同様、前半での交代が惜しまれる活躍だった。
ナイスプレー。
FW: 大崎 舜 (45分 in)
入直後は立ち位置やプレーに不明瞭なシーンが多かったものの、途中から見違えるようにボールや周辺と関わることができていた。
常に自身の立ち位置を把握しようと努めており、この試合だけでもプレーの向上は大いに見られた。
ターゲットとしてCF的な役割もありながら、スピードを生かすサイドの推進力、インレーンでのパスワーカー、複雑ながらもかなりのタスクを求められているようだ。石川の右腕の感覚でプレーした方が本人的にも楽なのかもしれない。
決して機能不全だったわけではなく、石川とコミュニケーションをとりながらプレーしている方が、伸び伸びとプレーできているようであった。
シュートも積極的に狙っていいかもしれない。
もう少し足元で違いを出したいが、ダイレクトパスを用いたフリックなど、随所で相手DF陣に混乱を与えていた。
ここ最近で非常に生き生きしているようだった。
ナイスプレー。
FW:石川 大地
シュート多数。いずれも限られた空間から可能性のあるシュートを放った。
22分のボレーシュートは決めたかった。石川らしく丁寧にシュートを試みた。
身体を倒して、インステップで豪快なシュートを突き刺しても面白かったかもしれない。
その他複数シーンでゴールマウスを狙い続け、40分にはミドルレンジからのシュートを放った。
ストライカー石川を随所で感じさせてくれた分、ゴールを決めて欲しかった。
後半立ち上がりは、大﨑や東山との連携に足掻いているようだったが、70分頃からは大木監督がイメージしているであろうプレーが時折見られた。
大﨑に楔を打ち込んで、石川が前を向いた状態でシュートを放つシーンも見られ、個人的に非常に満足度が高かった。
ナイスプレー。
FW:唐山 翔自(→ MF:東山 達稀)
唐山独特の間合いのドリブルで左サイドに違いを出した。ドリブル突破というシーンはごく限られ、ドリブルで相手を惹きつけるシーンが多く見られた。
17分決定機。ボールが流れてきたが反応できず。
37分のカットインからのシュートなど、唐山ならではの形を毎試合見せてくれる。
ハーフタイムでの交代が非常にもったいないくらいの活躍であった。ナイスプレー。
MF: 東山 達稀 (45分 in)
東山の強いフィジカルを生かしたプレーが随所で見られた。
59分などのプレーはそれが顕著に出ていた。
75分の東山→大﨑→石川の流れ。非常によかった。
シンプルながらも、石川のストライカーの顔を前向きで引き出すプレー。
裏へのランニングなど積極的に相手のスペースを狙っていた。
パスワークでももっと顔を出したい。
ナイスプレー。
80分以降の交代
in / DF: 黒木 晃平 (out MF:三島 頌平)(80分)
高いポジショニングで同点ゴールのチャンスを伺い続けた。
もちろん守備のタスクを疎かにするわけでもなく、守備にはむしろ安定感をもたらした。
いつも終盤で試合に大きな活力を与えてくれる。
いつもありがとう。ナイスプレー。
in / MF: 竹本 雄飛 (out MF:古長谷 千博 )(80分)
ポジショニングは非常に良いが、プレス回避にやや不安が残る。
今節、投入直後にゴール前での決定機が生まれた(81分)。
普段の竹本は良くも悪くもボックス内でのフィニッシャー的な動きを好む。
今節はあくまでも8番的な役割を模索しているように見えた。
周囲と積極的に関与できているように見えたが、古長谷のような柔軟な発想にも期待したい。
ナイスプレー。
in / DF: 阿部 海斗 (out DF:大西 遼太郎 )(89分)
出場時間はごく限られたが、終盤の右サイドからのクロスで大きな決定機を生み出した。
今の大木サッカーのパスワークで阿部がどう作用するかも今後注目したい。ナイスプレー。
試合内容・チーム総評
山形が1枚上手だった。内容は互角、熊本に分がある時間帯も大いにあった。
攻撃面は、前半と後半でプレースタイルに大きな違いが見られた。
前半は組織全体でバイタル付近まで迫るといった、最近のロアッソらしいプレースタイルであった。
一方後半は、引いて守備ブロックを固めた相手に縦への推進力を見出せなかったが、シンプルに楔を打ち込んでシュートに至ったシーン(75分)など、同一試合での攻撃の幅を広がった印象。
無論、選手交代により選手の特性を活かしただけと言われればそれまでなのだが、チーム全員で戦術を共有できているようだった。
特に大﨑に任されたタスクは難しかったように思う。
ゴール前に混乱を生み出すようなプレーや立ち位置をもう少しで見出せそう。
守備時においては、セットプレーのシーンでラインが乱れるシーンがやや気になった。コーナキックからの失点があったのは事実ではあるが、安定感が増しているようにも見えた。特にサイド攻撃に対する守備のクオリティは、改善しているようだった。
負けはしたが悲観する内容ではない。
大木サッカーの集大成を来年にぶつけるために、今季残り2試合は戦術のみならず、選手たちにも様々なパフォーマンスを見せてもらいたい。
だれだれろっそ! (編集:涼火)